ハウスクリーニング 合唱ちゃんねるblog: 多田武彦 男声合唱組曲「冱寒小景」について

2006年05月13日

多田武彦 男声合唱組曲「冱寒小景」について

こういうサイトをやっている性格上、合唱に関するさまざまな情報が自然に(?)入ってくるのですが、今回はその中から多田武彦ファン向けの情報を1つ。公開してもよいみたいなのでします。なお、情報の信頼性については現時点では保証できません。できないならはじめから外に出すなと言われそうですが。

今年の10月に大分で初演される男声合唱組曲「冱寒(ごかん)小景」について。
作詩は北原白秋。作曲されている詩は以下の通りらしいです。白秋の著作権はすでに消滅しています。
※追記 フリガナは小文字で書いたつもりなのですが、こちらのブラウザからはなぜか本文より大きく表示されてます。

   雪中思慕

雪は霏々として、蒲の穂につもり、
灰いろのへら鷺も今は姿をひそめた。
わたしは小さな蓑笠を着た童わらべ
この雪に日の暮に何処どこへ行つたものか、
片手にはまだ亀の子の温かみがあるのに、
遠い母里ははざとの金きんのラムプも見つからぬ。
ああ、霏々としてふる雪の郷愁ノスタルヂヤア

   鶺鴒

山川のたぎつ瀬の、
瀬の、瀬の岩に
ゐる鳥の、
尾を振る鳥の、
鶺鴒せきれいの、
ふと、その岩を飛び去んぬ。

山川のたぎつ瀬の、
瀬の、瀬の岩に
ゐた鳥の、
尾を振る鳥の、
鶺鴒せきれいの、
まだゐるやうで、寒い冬の陽

   山峡の良夜

なんといふ紫の
かひの良夜ぞ、
雪のつもつた竹、
林泉の石、
敗荷を閉ぢた氷の面めん
ばんよ、朝から持ちつづけたこの閑しづけさを
少しでも、むざと、乱してくれるな。
月は宵から中天にあるが、
あの片われの半面の深さ、
光をひそめた紫の濃さ、
ああ、その縁へりに銀星がまたたく、
三千年の昔のまたたきが。
鷭よ、林泉の雪に黙つぐんで
せめては仙家の秘薬を練つててくれ。

   北山時雨

   1
かやの梢こずゑと檜ひのきの森は
いつも時雨にすくすくと。

   「北山時雨きたやましぐれがお好きなら
    釣棹つりざをかたげて鮒ふなつりに、
    その鮒買ひましよ、いくらです。
    一貫五百にまけておこ、
    それでも高いと突つぱなす。」

今朝けさの、サイサイ、寒さは身に染みる。

    2
欅林けやきばやしの鳥の巣見れば、
いつも薄陽うすびにさえざえと。

   「北山時雨きたやましぐれがお好きなら
    釣棹つりざをかたげて鮒ふなつりに、
    その鮒買ひましよ、いくらです。
    一貫五百にまけておこ、
    それでも高いと突つぱなす。」

やも、サイサイ、日暮ひぐれの鐘のこゑ。

   物臭太郎

物臭太郎が日向ひなたぼこ
ぬうらりくうらり温くかろな。

物臭太郎が父とうさまも
どこかでぼんやり温くかろな。

物臭太郎がお母かあさま、
日永ひながに去られて温くかろな。

物臭太郎がお祖父ぢいさま、
お墓の下でも温くかろな。

物臭太郎がお祖母ばあさま、
なむあみだぶつで温くかろな。

物臭太郎が日向ぼこ、
物臭づくめで温くかろな。

物臭太郎がひとりごと、
明日あしたもやつぱり温くかろな。

   雪後の曇り

ひさしぶりの楽しい暇いとまだ、
今日は本でも読まうよ。
なにかしら親しいこの曇りに
わたしは餅でも焼きたくなつた。

あの寒枇杷の向うの
櫁柑山の斑はだら雪、
ひじりヶ嶽たけはまつしろだが、
しづかな湿しめつた低空ひくぞらである。

見てゐると、つい、近くの孟秋の上を
弧をかいて落つる小鳥もある。
硝子戸越しゆゑつめたいけれど、
ぴいちくぴいちく鳴く声もする。

炭火に片手をかざしながら、
わたしは独ひとりを楽しんでゐる。
はだらの雪も光りはしないが、
何かしねずみに匂つてゐる。
posted by おおなみ at 03:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 合唱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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